薬剤師の脳みそ~薬局薬剤師の勉強ブログ~

調剤(保険)薬局の薬剤師が脳内で考えていることや仕事の中で得た知識をまとめるblogです。できるだけ実用的に、わかりやすく、実際の仕事に活用できるような情報になるよう心がけていきます。基本的に薬剤師または医療従事者の方を対象としています。

アスピリン不耐症とアスピリン喘息

アスピリン不耐症(aspirin-intolerance)というと一見何のことか分かりくいですが、アスピリン喘息を知らない薬剤師はいないと思います。
NSAIDsにより喘息発作が引き起こされるというものです。
アスピリン喘息の場合、飲み薬に限らず、湿布等の外用薬でも喘息発作につながる可能性はあります。
  
NSAIDsによるアナフィラキシーの既往を持つ患者さんがいました。
ただ、あまりにも情報が少ない。
わかるのはロキソプロフェン、イブプロフェン、さらにはアセトアミノフェンで症状が起きているということ。
う〜ん・・・。
Ⅰ型アレルギーなのか、アスピリン不耐症なのか・・・?
Drとおそらく後者だろうということで話が進みました。
  
  

  

アスピリン不耐症とは?

アスピリン不耐症(アスピリン喘息)と言っても原因となる薬物はアスピリンに限らず、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)すべてです。
一部の薬剤や食品等にふくまれている添加物に反応してしまうこともあります。
アスピリン不耐症は二種類に大別されます。
分類と症状は以下のとおり。

  • 気道型(この場合がアスピリン喘息):喘息発作や鼻炎
  • 皮膚型:蕁麻疹

  
  

アスピリン喘息の原因

発生機序はアラキドン酸カスケードの関与が考えられています。
通常、アラキドン酸はシクロオキシゲナーゼ(COX)によりプロスタグランジン(PGE2など)やトロンボキサン(TXA)を合成する経路とリポキシゲナーゼによりロイコトリエン(LT)を合成する経路の二つで代謝されます。
NSAIDsはCOXを阻害することで解熱鎮痛作用引き起こします。
  
今回の話では、このCOX阻害作用が曲者ということになります。
アラキドン酸カスケードのうちCOXが関与する経路が遮断されPGの合成が行われなくなってしまいます。
その結果、リポキシゲナーゼの経路が活発になり、強力な気管支平滑筋収縮作用や血管透過性亢進作用、鼻汁分泌作用を持つシスティニルロイコトリエン(LTC4、LTD4、LTE4)が増加してしまいます。
また、COX経路により合成されるPGE2は気管支拡張作用があるのでそれが抑制されることも喘息の原因となります。
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以上がアスピリン不耐症の発生機序と考えらえています。
  
  

NSAIDsが使えない患者さん

話を元に戻します。
今回の患者さんは複数のNSAIDsに対して過敏症を持つので後者を考えたって訳です。
では、このような患者に対して解熱鎮痛薬は使用できないのか?
アスピリン喘息に関しては比較的リスクの低いものがいくつか存在します。
アスピリン喘息に対してリスクが低い = アスピリン不耐症に対してリスクが低いなので、それを参考に考えます。
  
  

1、アセトアミノフェン、サリチルアミド

誘発作用は弱いとされています。
アセトアミノフェンは比較的アスピリン不耐症を引き起こしにくいとされていますが、高用量(300mg/回以上)では発生の報告があります。
アセトアミノフェンは弱いながらもCOX-1阻害作用があります。
そのため、添付文書上も禁忌となっています。
これはあくまでも「弱い」であって、できれば避けたいですね。
サリチルアミドも添付文書上は禁忌です。
  
  

2、塩基性解熱鎮痛薬

誘発作用はほとんどないと言われています。
ただし、塩酸チアラミドとエピリゾールは添付文書上禁忌となっています。
エモルファゾンは(何故か)禁忌の記載はありません。
塩基性解熱鎮痛薬を使用するケースは比較的多いのではないでしょうか?
  
  

3、セレコキシブ

誘発作用はないとされています。
「常用量で安全に投与できることが確認されている」(喘息予防・管理ガイドライン2009)
ただし、添付文書上は禁忌となってます。
COX-2選択性が高いのでPG合成経路が遮断されることはないということですね。
アスピリン喘息の患者に対して、常用量はもちろん、倍量投与でも問題なく使用できたという報告があります。
ただ、アスピリン喘息を起こしたって報告がないことはないようです。
セレコキシブの安全性を報告する論文は多く存在するんですが、エトドラクに関する論文は見たことがないんですよね。
  
  

まとめ

個人的にはアスピリン不耐症にはセレコキシブ!と考えていますが、解熱剤として使用できるかどうかがはっきりわからないし、適応上無理なのが痛いところ。
ファイザーのデータを見るとラットでは解熱作用が出ているみたいなんだけどな〜。
あと、添付文書上はアスピリン喘息に禁忌。
  
ちなみに、今回のケース。
もし、Ⅰ型アレルギーだとすれば、過敏症歴のあるNSAIDsと骨格の異なるものを選ぶくらいしかないですよね。
とりあえず、セレコキシブは唯一のコキシブ系なので、他のどのNSAIDsとも骨格は異なります。
  
最近ではアスピリン不耐症ではなくNSAIDs不耐症と呼ぶべきだという流れもあるみたいです。
意味を考えるとその方が正確ですよね!