薬剤師の脳みそ

調剤(保険)薬局の薬剤師が日々の仕事の中で得た知識や新薬についての勉強、問題を解決する際に脳内で考えていることについてまとめるblogです。できるだけ実用的に、わかりやすく、実際の仕事に活用できるような情報になるよう心がけていきます。基本的に薬剤師または医療従事者の方を対象としています。

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アジルバ

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少し前にアジルサルタン(商品名:アジルバ)の販売承認がおりたって記事を見ていたけど、そのまま忘れてしまっていた。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1201/1201052.html
先日、医師会の勉強会でアジルバの説明会があった(らしい)んだけどその日は行けず。
次の日、卸さんに「昨日行きました?」と聞かれて、
「行けなかったんだよ〜。何の勉強会だったの?」と聞く始末。
どうもアジルバ中心の話だったみたい。
国内7番目のARB。
特徴はその強さ、いわばスーパーARB。

「もうARBはいいだろ?」と言われそうなこの薬。
武田薬品の狙い通り?なのか、落としどころが非常にいい気がする。
カンデサルタン シレキセチル降圧効果を比較した場合、
 カンデサルタン シレキセチル8mg < アジルサルタン20mg
 カンデサルタン シレキセチル12mg < アジルサルタン40mg
薬価を比較すると、
 カンデサルタン シレキセチル8mg > アジルサルタン20mg
 カンデサルタン シレキセチル12mg > アジルサルタン40mg
効果は強いのに薬価は安い。
素晴らしいじゃないですか。
カンデサルタン シレキセチル(商品名:ブロプレス)の特許切れはたしか2014年なので、それまでにアジルバに切り替えてもらおうって作戦でしょうね。
スタチンで言えば、ロスバスタチン(商品名:クレストール)のようなものですね。
まあ、あっちの場合、いくらなんでも安すぎた気がしますが・・・。

降圧コントロールを考えた場合、単純に効果の強さだけでなく、作用の持続時間も重要ですが、アジルサルタンのAT1結合能はかなり高いようで、血中濃度が下がった後も降圧効果の持続が期待できるようです。
半減期はそれほどでもないけど、効果持続時間は長く、riser型やnon-dipper型の高血圧に十分な効果が期待できそうですね。

アジルサルタンの降圧効果が強いと言っても、カンデサルタン シレキセチルの配合剤には敵いません。
ですので、サイアザイド配合剤で考えると、
エカード > アジルバ > ブロプレス
といったところ。
でも、いくらエカードに含まれるサイアザイドが微量とは言っても、血糖、尿酸の上昇は気になるところなので、アジルサルタンの選択肢は嬉しい限。

ちなみに、ブロプレスにあった心不全の適応はアジルバにはない。
これがどう作用するかが気になるところ。
でも、心不全での使用率ってどの程度なんだろう?
アジルサルタンでも同様の効果が期待できるのか?
大規模臨床試験が行われる予定があるのか?

配合剤の発売も計画されているようなので、最終的には完全にブロプレスと置き換わることを目指しているんだろうなあとは思う。

追伸
ということで、これは絶対に処方される!と発売日に即在庫したわけですが、今のところまだ処方は出ていません。
やっぱり、慢性期に使う薬は発売後1年は使いにくいよね・・・。
薬価が安いというメリットを考えるDrなら、長期処方ができないことによるコストの増も考えて当然だしw

あと、この薬、アメリカではアジルサルタン メドキソミル(イダービ)というプロドラッグ体で売られているんだよね。
何故、日本はプロドラッグにしなかったんだろ?

追記(平成25年2月4日)
国内でプロドラッグで発売しなかったのは、プロドラッグでもそうでなくても吸収や効果に差がみられなかったためだそうです。なんじゃそりゃ。

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