薬剤師の脳みそ

調剤(保険)薬局の薬剤師が日々の仕事の中で得た知識や新薬についての勉強、問題を解決する際に脳内で考えていることについてまとめるblogです。できるだけ実用的に、わかりやすく、実際の仕事に活用できるような情報になるよう心がけていきます。基本的に薬剤師または医療従事者の方を対象としています。

このブログは薬局で働く薬剤師を中心とした医療従事者の方を対象に作成しています。
一般の方が閲覧した際に誤解を招くことのないように配慮しているつもりですが、医療従事者の方へ伝えることを最優先としています。
2020年11月からURLが変更となりました。(新URL https://yakuzaishi.love)
  

居宅療養管理指導費に関するQ&Aについて〜平成30年度介護報酬改定

4月を過ぎ、平成30年度の調剤報酬改定への対応もすっかり終わったところと思います。
今回の改定では介護報酬の改定も同時に行われました。
在宅を行なっている薬局は、こちらへの対応にも追われたことと思います。
今回は介護報酬版の疑義解釈とも言えるQ&Aのうち、居宅療養管理指導費に関する部分についてまとめました。
結論から言うと、「中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算」を算定する予定のない薬局にとっては、理解している内容の確認だけで、特に新しい内容ではないかもしれません。

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オゼックスによる腎性尿崩症、マリゼブ・オングリザ・ザファテックによる類天疱瘡など〜平成30年4月19日使用上の注意改訂指示

平成30年4月19日、厚生労働省医薬・生活衛生局は、新たな副作用が確認された医薬品について、添付文書の使用上の注意を改訂するよう日本製薬団体連合会に通知しました。
今回は6つの成分に対して以下のような改訂指示が出されています。

  • トスフロキサシン(オゼックス)による腎性尿崩症
  • オマリグリプチン(マリゼブ)・サキサグリプチン(オングリザ)・トレラグリプチン(ザファテック)による類天疱瘡
  • ペムブロリズマブ(キイトルーダ)による硬化性胆管炎
  • クラドリビン(ロイスタチン)による進行性多巣性白質脳症

  
※副作用に関する記載を中心とした記事ですが、あくまでも医療従事者を対象とした記事です。副作用の追加=危険な薬剤というわけではないのがほとんどです。服用に際して自己判断を行わず医療従事者の指示にしたがってください。

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平成30年4月18日に薬価収載された医薬品一覧

2018年4月11日、厚労省の中医協・総会で新規医薬品の薬価が決定し、4月18日に薬価収載されました。

  • エビリファイと比較してアカシジア等の副作用が少ないとされる新規統合失調治療薬レキサルティ
  • ゼチーアと同じ薬価にも関わらずアトルバスタチンが配合されているアトーゼット配合錠
  • 胆汁酸トランスポーターを阻害する新規抗便秘薬グーフィス
  • 高力価とした上で小児適応を取得したシダキュア舌下錠
  • レミカットカプセルの経皮吸収製剤アレサガテープ

この辺りが気になりますねー。
ちなみに、パルモディアは今回も見送りのようです。
承認されたのが昨年7月なんですが、いつ発売されるんでしょうね?(2018年5月22付でようやく薬価収載、6月1日に発売されました)

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在宅の考え方は同一建物から単一建物に〜診療報酬と介護報酬のダブル改定

平成30年度(2018年度)の在宅に関する改定についてまとめます。
今回は調剤報酬だけでなく介護報酬の改定も行われるダブル改定です。
これでほとんど統一されるかと思いきや、そうでない部分も意外とあります。
在宅患者訪問薬剤管理指導料等の調剤報酬における在宅関連の改定と一緒に介護保険における居宅療養管理指導費の改定についてもまとめます。

  • 「同一建物居住者」から「単一建物診療患者(単一建物居住者)」に
    • 単一建物の算定とみなす条件の変更:同一日→同一月
    • 人数に応じた3段階の評価に変更
  • 単一建物診療患者の数え方の例外
    • 3ユニット以下の認知症対応型共同生活介護(グループホーム)はユニット毎に単一建物診療患者の人数を判断
    • 同居する同一世帯患者はそれぞれ「単一建物診療患者が1人の場合」を算定可能
    • 算定患者数が建物の戸数の10%以下の場合は「単一建物診療患者が1人の場合」を算定可能
    • 単一建物の戸数が20戸未満で算定患者数が2人以下の場合は「単一建物診療患者が1人の場合」を算定可能
  
  • 診療報酬(医療保険):在宅患者訪問薬剤管理指導料
    平成28年度改定 平成30年度改定
    1 同一建物居住者以外の場合:650点 1 単一建物診療患者が1人の場合:650点
    2 同一建物居住者の場合:300点 2 単一建物診療患者が2〜9人の場合:320点
    3 1及び2以外の場合:290点
    • 保薬剤師1人につき1週につき40回に限り算定
    • 麻薬管理指導加算:100点
    • 乳幼児加算:100点(在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急時等共同指導料も対象)
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  • 介護報酬(介護保険):居宅療養管理指導費・予防居宅療養管理指導費
    平成28年度改定 平成30年度改定
    (一) 同一建物居住者以外の場合:503単位 (一) 単一建物居住者1人に対して行う場合:507単位
    (二) 同一建物居住者の場合:352単位 (二) 単一建物居住者2人以上9人以下に対して行う場合:376単位
    (三) (一)及び(二)以外の場合:344単位
    • 麻薬管理指導加算:100単位
    • 地域に応じた加算
      • 特別地域居宅療養管理指導加算:15%
      • 中山間地域等における小規模事業所加算:10%
      • 中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算:5%
  
詳しい内容は本文でまとめます。

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後発医薬品調剤体制加算の改定〜目指せジェネリック数量シェア80%!(H30.4.3修正)

平成30年度(2018年度)調剤報酬改定での後発医薬品に関する改定についてまとめます。
後発医薬品に関する改定の主な内容は以下の通りです。

  • 後発医薬品調剤体制加算が2段階→3段階に
  • 算定に必要なGE数量%のアップ
  • 新設される後発医薬品調剤体制加算3は今までよりも点数アップ
  • GE数量%の低い薬局には調剤基本料の減算

基本料に関する加算等 平成28年度 平成30年度
調剤基本料の注6 新設 -2点20%以下
後発医薬品調剤体制加算1 18点(65%以上) 18点(75%以上)
後発医薬品調剤体制加算2 22点(75%以上) 22点(80%以上)
後発医薬品調剤体制加算3 新設 26点85%以上)

  • 診療報酬(医科)での一般名処方加算の点数アップ
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平成30年度調剤報酬改定の最終チェック〜届出書類・レセコン設定

(この記事は平成30年4月1に投稿したものなので、平成30年度診療報酬改定に関する施設基準の届出はすでに締め切られています)
明日からいよいよ調剤報酬改定後の業務が始まりますね。
(一部の方は今日から始まってますね。お疲れ様です。)
みなさん準備は万端でしょうか?
明日からの業務の最終確認として、特掲診療料の届出を中心にまとめてみたいと思います。
施設基準の届出は平成30年4月16日(月)必着ですよ!

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疑義解釈資料の送付について(その1)

いよいよ来週から改定!という週末になって疑義解釈その1が公開されましたね・・・。
疑義解釈資料の送付について(その1)/事務連絡 平成30年3月30日
棚卸準備で疲れた体に鞭打ちながら読んでみました。
今回、一番のサプライズとも言えるのは服薬情報等提供料で、ケアマネへの報告で算定できるようです。

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薬剤服用歴管理指導料の改定〜非常に厳しい特例の新設と記載項目の変更

平成30年度(2018年度)調剤報酬改定での薬剤服用歴管理指導料に関する改定についてまとめます。
薬歴に関する改定の主な内容は以下の通りです。

薬剤服用歴管理指導料 平成28年度 平成30年度
1(6ヶ月以内) 38点 41点
2(1以外) 50点 53点
3(特別養護老人ホーム入居者) 38点 41点
注(調剤基本料1以外、お薬手帳なし) 50点 53点
特例(お薬手帳持参率50%以下 新設 13点

  • 服薬指導で「抗微生物薬適正使用の手引き」を参考とし、抗菌薬の適正使用が重要であることの普及啓発に資する取組を行うことが望ましい
  • 今後の継続的な薬学的管理及び指導の留意点を薬歴に記録
  • レセプト上の薬歴分類の細分化
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サムスカの急性肝不全、ウプトラビとプラビックスが併用禁忌に、トラゼンタ・スイニー・テネリア・カナリアによる類天疱瘡・急性膵炎〜平成30年3月20日添付文書改訂指示

平成30年3月20日、厚生労働省医薬・生活衛生局は、新たな副作用が確認された医薬品について、添付文書の使用上の注意を改訂するよう日本製薬団体連合会に通知しました。
今回は7つの成分に対して以下のような改訂指示が出されています。

  • トルバプタン(サムスカ)による急性肝不全
  • セレキシパグ(ウプトラビ)とクロピドグレル硫酸塩(プラビックス・コンプラビン)による相互作用
  • アナグリプチン・リナグリプチン・テネリグリプチン臭化水素酸塩水和物による類天疱瘡・急性膵炎
  • 滅菌調整タルクによるショック(これについては省略)

  
※副作用に関する記載を中心とした記事ですが、あくまでも医療従事者を対象とした記事です。副作用の追加=危険な薬剤というわけではないのがほとんどです。服用に際して自己判断を行わず医療従事者の指示にしたがってください。

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地域支援体制加算の新設〜基準調剤加算と比較して薬局の未来を考える

平成30年3月5日、厚生労働省は平成30年度診療報酬改定説明会を開催し、関連する告示、通知を同日付けで発出しました。
これにより、平成30年度調剤報酬改定の内容のほとんどが明確になりました。
今回は、基準調剤加算の廃止に伴い新設される地域支援体制加算についてまとめたいと思います。

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ゾフルーザの特徴・作用機序・副作用〜添付文書を読み解く【1回飲み切りのインフルエンザ治療薬】

平成30年2月23日、新規作用機序を持つインフルエンザ治療薬ゾフルーザ(成分名:バロキサビルマルボキシル)が承認されました。
この薬は先駆け審査指定制度の対象となっており、平成29年10月25日の申請からわずか4カ月での承認です。
  
ゾフルーザについては一般の方からのアクセスが多いので、今回の記事はいつも以上にわかりやすさを意識して書いてみようと思います。

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調剤基本料は敷地内薬局・チェーン薬局・医療ビル(モール)などを対象とした内容が追加〜H30年度調剤報酬改定

平成30年2月7日、厚生労働省の中央社会保険医療協議会(中医協)は2018年度診療報酬改定案を了承し、加藤勝信厚生労働相に答申しました。
個別の改定項目については少しずつまとめて行こうと思います。
今回は調剤基本料についてまとめます。

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【薬食審・医薬品第二部会】期待のインフルエンザ治療薬ゾフルーザが審議通過【承認了承】

平成30年2月2日、厚生労働省の薬食審・医薬品第二部会で新薬2製品についての審議が行われました。
兼ねてから話題になっていた1回のみの経口投与で治療が完結する新規作用機序のインフルエンザ治療薬ゾフルーザの承認が了承されました。
また、ミティキュア・アシテアの小児適応やハーボニーのセログループ2に対する適応、ハーセプチンのバイオシミラーなどが報告されています。

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平成30年度調剤報酬改定の個別改定項目の要件案が公開(2/7答申後に修正)

平成30年1月24日に開催された第386回中医協(中央社会保険医療協議会)総会。
ついに、平成30年度調剤報酬改定(診療報酬改定)の個別改定項目ならびにその算定要件案、いわゆる短冊が公開されました。
点数や具体的な数字はまだ決定していませんが、大まかな内容が決まったということです。
2月の半ば以降に点数が決まるはずです。(2月7日にひとまず公開されました。)

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平成30年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理を元に色々と考察してみる

年も明け、いよいよ本格化していく診療報酬改定(調剤報酬改定)に関する議論。
1月12日にはこれまでの議論をまとめたものが公開されています。
その中で薬局に関連する部分について抽出し、個人的な考えをまとめてみようと思います。

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